屋根裏より。

音楽ブログ。たまに本や映画も。

屋根裏'的2018年上半期ベスト9を聴いて欲しい。

 

 

 

2018年が半分過ぎたのである。と、いうことで今年の上半期ベスト9を決めることにした。

 

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なおArctic MonkeysKanye West,MGMT,Tom Mischあたりの新譜は多くの人が挙げる筈なので今回のベストでは割愛というか殿堂入り扱いとさせて頂く。また選考基準の1つとして最低でも数週間聴いた作品であることを条件としているため6月中旬以降の作品は入れていない。

 

また管理人の好みはR&B,ソウル,オルタナティブ,電子•実験音楽でありこれらのジャンルが中心となったランキングであることにご留意を。

 

 

 

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◆上半期ベスト9

 

□第1位 Oneohtrix Point System/Age Of

 

 

第1位はOPNの新作!もうこれに関しては一聴してくれとしか紹介出来ないのでとにかく聴いて欲しい。表題曲Age Ofや架空の映画サントラToys 2も良いのだが、管理人的にはWarningがお気に入りだ。

 

 

 

□第2位 Sirintip/Tribus

 

 

Snarky Puppy擁するジャズ/オルタナティブレーベルGroundUP Musicより超大型新人がデビュー。彼女の名はSirintipだ。このレーベルによる発表曲の中では割と実験的といえる音色で、チルいソウルかと思えば祭囃子のようなコーラスの入ったエレクトロナンバーも。

 

余談だがMicheal Leagueの魚群探知機というか審美眼はやはり侮れないと感心した(自身のツアー中に引き抜いたという噂も?)。また同レーベルから今年リリースされたAlina Engibaryanというアーティストにも要注目だ。

 

 

 

□第3位 Takaryu/Resources

 

 

このアルバムについては以前投稿した新人発掘企画で詳しく紹介させて貰ったのでぜひそちらを参照下さい。

新人発掘プロジェクト Vol.2:Takaryu - 屋根裏のDig日記。

上半期ベストを選ぶ際様々な基準で悩んだが、このアルバムは'とにかく聴いた部門'として選んだ。管理人が国内で最も注目しているアーティストはTakaryuだと胸を張って言える。それくらい衝撃を受けたので3位に。

 

 

□第4位 Clown Core/Toilet

 

 

こちらも以前の記事で紹介したのでここでは割愛。

https://fromtherooftop.hatenadiary.jp/entry/2018/05/30/Clown_Core_-%25E7%258B%2582%25E6%25B0%2597%25E3%2581%25AE%25E9%2581%2593%25E5%258C%2596%25E5%25B8%25AB%25E3%2581%25AB%25E3%2581%25A4%25E3%2581%2584%25E3%2581%25A6-

あの記事ではルイス•コールがドラマーで時折参加しているトランペット担当がもう片方なのではという説を提唱してみたが、Knowerが参加したフェスの彼らのブースでToilet収録のBuy This Albumが流れていたという情報もあり恐らく仮面の下の正体は確定したと言える...はず。笑

 

□第5位 Charlotte Day Wilson/Stone Woman

 

 

カナダはトロント出身のシンガーソングライターCharlotte Day Wilsonの新EP。Doubtにどハマりして以来彼女の滑らかでミステリアスな歌声に魅了されてきた管理人には今回のEPがとにかく刺さった。R&B,ソウルを基盤に展開されるCDWワールドにあなたも引き込まれること間違いなし!

 

 

□第6位 坂本龍一/Life,Life(Anenon Dream mix)

 

 

昨年発売された坂本龍一のアルバムAsyncに収録されていたLife,Lifeを新鋭のエレクトロニカトラックメイカーAnenonがリミックスした一曲が第6位。原曲は厳かかつ単調なピアノと瞬間的に現れる異音との調和が印象的だったが、Anenonによるリミックスver.では笛とピアノを中心としたメロディアスな展開やシンセサイザーの高音、ノイズサウンドがプラスされ'物語性'が強まったように感じる。上半期発表のアンビエント曲ではこれが圧倒的1位である。

 

 

□第7位 Goldmund/Occasus

 

 

上半期でLife,Lifeの次に聴いたアンビエント曲がGoldmundのOccasusというアルバム。Goldmundはこの名義以外にも他に2つの名前で活動しているのだが、やはりGoldmund名義で発表される曲が1番好き。前アルバムThe Malady Of Eleganceに引き続きピアノを基調としたアンビエントが基本構成だが、ピアノがより動的に揺らいでいるのが特徴的か。お気に入りはBeforeとMigration。

 

 

□第8位 Detroit Swindle/High Life 

 

 

5月の新譜特集でも紹介したDetroit Swindleの新アルバム。とにかくオシャレ。一聴したら踊りたくなること間違いなし!!

 

 

□第9位 Nao Kawamura/Kvarda

 

 

昨年発売のEP「Rescuer」で出会って以来すっかり虜になっているアーティストがNao Kawamura。SuchmosやWonkのバックコーラスを務めた経験もあり、日本のジャジーオルタナティブ/ソウルシーンを牽引する1人でもある。Rescuerよりもさらに洗練され研ぎ澄まされた感覚とブレない軸を感じさせてくれるのが今作Kvardaだ。管理人が特にハマったのがAwakeという曲で、ヨハン•ヨハンソンのKangaruを彷彿とさせる序盤のコーラスが印象的。彼女が意識したのかは不明だが管理人が敬愛する攻殻SACのサントラっぽさを感じたのも高評価の要因である。

 

 

 

 

上半期秀作曲

オマケとして、ベストとまでは行かずとも印象深かった曲や注目アーティストの秀作新譜を紹介しよう。

 

・Plage84/Was It Real? 




こちらは近日中に新人発掘企画で紹介したいと思っているアーティストPlage84の新EP。Drowing Sandのようなハイテンポなエレクトロニカ、Femi Jayeをボーカルに迎えたRainbow Hairのようなヒップホップとの融合、そして流行りのネオソウルサウンド 具体的に言えばTom Mischの小躍りしたくなるポップなサウンドの潮流に乗るOpen The Windowと、とにかく器用。盤で欲しかったのだがデジタルリリースのみのようで悲しい。皆もっと聴いて有名にしてあげて!!

 

 

・Zoology/Bloom

 

 

カナダのエレクトロR&BデュオZoologyのデビューEP。音像的にはKlloをイメージさせるが、よりタチが悪い明るさを感じるのだ。笑

Backwaterのジャケットを見て貰えば判るようにklloは露骨に'暗さ'を押し出している。まさに淀みで揺れているような印象だ。f:id:OhSAMURAI_038:20180702184501j:image

 

一方Zoologyの場合、Bloomのジャケットで判るように'明るさ'を押し出している。f:id:OhSAMURAI_038:20180702185353j:image

だがUnravelの後半展開される突然のアンビエントサウンドに代表される闇が時々垣間見えるのである。管理人は捻くれているので、この辺に「いつも笑っているのに素性が全く分からないヨーロッパのミニシアター系映画の殺人鬼」イズムを感じてしまって惹かれてしまうのである。

ただし、Bloom収録曲の曲調が似てしまっていることからベスト圏外に。今後の成長に期待したい。

 

Prefuse73/Sacrifices

 

 

ヒップホップとエレクトロニカの融合で有名なScott Helenのソロプロジェクトの1つがこのPrefuse73だ。James Tilmanをボーカルに迎えたSilver&Goldがオススメ。

 

 

・Alisa/Walls

 

 

こちらも5月の新譜記事で紹介しているので割愛。

 

 

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Louis Coleの新曲When You're Uglyが公開。

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このブログで度々登場しているエレクトロトラックメイカーLouis Coleパイセンが昨日(18/6/28)新曲のWhen You're UglyのMVを公開した。

まずはご覧頂こう。

 

今回の新曲は以前よりもキャッチーなメロディラインでエレクトロ<ポップという印象を受けた。

 

ここで驚きなのは概要欄に書かれてあるように、今年8月10日に3rdアルバムTimeをなんとBrain Feeder(フライングロータス率いるエレクトロ/ヒップホップ/インストレーベル)からリリースするらしいのだ。

 

収録曲は以下の通り。

 

 

1. Weird Part Of The Night
2. When You're Ugly (feat. Genevieve Artadi)
3. Everytime
4. Phone
5. Real Life (feat. Brad Mehldau)
6. More Love Less Hate
7. Tunnels In The Air (feat. Thundercat)
8. Last Time You Went Away
9. Freaky Times
10. After The Load Is Blown
11. A Little Bit More Time
12. Trying Not To Die (feat. Dennis Hamm)
13. Things
14. Night

 

Time

Time

  • ルイス・コール
  • R&B/ソウル

 

既に発表されている曲もあるが、ThundercatDennis Hammとのコラボなど豪華な一枚となっている。

 

 

さてさて、MVの話に戻ろう。今回管理人がこうして書いているのはある'変化'を感じたからだ。それはMVの狂気性である。笑

これまでLouis Cole名義で発表された楽曲のMVはどれもハンドメイド感溢れる良い意味でチープな作りだったのだが、今回のMVは明らかに趣を異としている。

 

 

(こうして改めてMean ItのMVを観てみると以前から少し頭のネジが外れている演出が始まっていた気がしないでもない。)

 

進撃の巨人よろしく筋肉スーツを身につけたLouis Cole本人を中心として組まれた奇妙な集団と、理解不能な行動!

家前のポストを破壊してキーボードを地面に叩きつけてみたり、はたまたイスで殴られてみたりとチープというよりクレイジーな要素が散らばめられているのである。この狂気性は一体何なのだろう?答えはClown Coreだ。

 

今年初旬に突如として現れたエレクトロデュオClown Coreはその演奏スタイルや雰囲気がLouis Coleと彼の仲間に似ていると密かに話題になり、最近ではLouis Coleの所属バンドKnowerがイベントに出演した際彼らのブースでClown Coreの曲が流れていたという噂もあったりと同一人物説がいよいよ固まりつつある。Clown Coreについて以前このブログで紹介したが、色々狂っている。その説明はClown Core特集記事https://fromtherooftop.hatenadiary.jp/entry/2018/05/30/Clown_Core_

を参照して頂くとして、これまでのLouis Cole作品のMVに控えめだった狂った演出が初めて大胆に現れたというのは地味に大きな出来事である。

 

今後の彼のMVから目が離せない。

 

 

新人発掘プロジェクトVol.3:Joan 〜オレ達の'80sを聴け!〜

 

さて第3弾はJoanにフォーカスする。

 

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JoanはAlan Benjamin ThomasSteven Rutherfordから成るアメリカ南部アーカンソー出身のインディーポップ/ロックデュオ。彼の特徴は何と言ってもド'80sな曲調だ。

まずはLove Somebody Like Youを。

 

 

Love Somebody Like You

Love Somebody Like You

  • joan
  • ポップ
  • ¥200

 

オルタナ成分を強めたThe1975など似た志向のバンドとJoanが決定的に異なるのは徹底していることだと言える。もはやコピーバンドと言っても差し支えない程の潔さである。オレ達はこの音楽が好きなんだよ!という唯我独尊的ワイルド感が伝わってくるのがなかなかアツい。ちなみに彼らのSNSを覗くと判るようにファッションも'80sギークのようで、各所で滲み出るオタッキーなこだわりが可愛いらしい。

 

 

管理人イチオシ曲はTokyo

 

 

tokyo

tokyo

  • joan
  • ポップ
  • ¥200

 

ちなみに前2曲を入れてもこれまでリリースしているのはシングル4曲のみなので残りのTake Me Onカバーと最近公開されたI Love You Firstも聴いていただこう。

 

 

Take Me On

Take Me On

 

 

 

https://songsbyjoan.com:公式サイト

 

Apple MusicとSpotifyどっちが優秀問題

 

 

音楽ファンの間でここ数年問われ続けている問題がある。それは「Apple MusicとSpotify結局どっちが優秀問題」である。

今回はこれをテーマに管理人なりのアンサーを皆さんに提供したい。ストリーミングサービスで悩んでいる方は参考にして貰えると嬉しい限りだ。f:id:OhSAMURAI_038:20180609135105j:image

 

 

 

▽UIの違い

 

まず明らかなものとしてユーザーインターフェース、通称UIの違いがある。正直ある一点を除いて両者のUIは同等に優秀。ではその一点とは何か。一覧表示した時にジャケット画像が見えるかどうかである。

Apple Music(以降A)の場合画像のように曲名の左側にジャケット画像が表示される。f:id:OhSAMURAI_038:20180609073737p:image

だがSpotify(以降S)の場合曲名が表示されるのみでジャケット画像はその曲を聴かないと(タップしないと)見る事が出来ない。f:id:OhSAMURAI_038:20180609073948j:image

私が長らくAを使っているからというのも大きいとは思うが、プレイリストを作ったり曲整理をする時にジャケット画像が一目で判るかどうかは結構重要だ。曲名を覚えていなくてもジャケットならわかるという経験は誰にでもあるはず。

 

▽レコメンド

次なる比較項目はレコメンドについて。Aは毎週土曜、Sは毎週月曜にユーザーの傾向から分析されたオススメ曲を紹介してくれるレコメンドプレイリスト機能が存在する。

あくまで個人的意見として聞いて貰いたいが、Aのレコメンド機能は正直イマイチである。Aのレコメンドはおそらく曲を高評価する'ラブ'機能やお気に入りにした曲の傾向から弾き出されているはずなのだが、毎回いわゆるビミョーなプレイリストを勧めてくる。このレコメンド機能の弱点というか特性として、'似ている曲'を抽出する為多くのジャンルを横断的に聴く人の方がよりレコメンド機能を評価していないように感じる。恐らくジャンルを絞って聴けばそれなりのレコメンドが受けられるのだろうが、やはりそもそもの傾向分析に難があるので....

 

ここまでAのレコメンド機能をボロクソに言ってきたが、かと言ってSが優れている訳でもない。SのプレイリストはAに比べれば確かにハマる曲の割合は高いのだが、結局ビミョー。ではどこがAと違うのかと言うと'ラジオ機能'である。

 

▽ラジオ機能

両者ともある曲に似た要素を持つ曲を瞬時に集めてプレイリストを作ってくれる機能 ラジオが存在する。ラジオと名乗っているが、実際の所レコメンド機能の一種である。前述のレコメンド機能が「何曲かから成るグループから共通要素を抽出してそれに該当する曲を紹介する」ものだとするならばラジオは「ある1曲に似た曲を紹介する」ものだ。こればかりは実際に試してみてとしか言えないのだが、Sのラジオは優秀でレコメンドプレイリストよりもDig時に効果を発揮してくれる。

Aにもラジオは存在するのだがウーンといった感じ。例を挙げるとJロックの曲からラジオを始めた筈なのに48系の曲が入ってきたりという具合。

 

▽プレイリスト機能

次に検討するのはプレイリスト機能について。両者とも多くの公式,非公式のプレイリストを聴くことが出来る。ここで異なるのはその種類だ。Aの場合「アーティストXのオススメ曲」や「〜が選ぶ20曲」という具合のプレイリストが殆どなのだが、SはドライブやBBQなどシーンに合わせたプレイリストがそれに加えて多くある。

 

▽Dig面

ここから先はよりオタッキーになっていくので興味がない方は飛ばしてくれて構わない。

音楽ファンの中にはまだ見ぬ良曲を掘り当てるべくDigと呼ばれる検索活動をする人がいる。管理人もこの1人なのだが、Digをする人間にとって優秀だと感じられるのは圧倒的にSなのだ。その理由を説明しよう。

 

まず最大の違いが数字。Sはアーティスト画面に飛ぶと人気の曲がどれくらい再生されているのか、そしてこの曲がいつ発売されたのかを確認する事が出来る。またこのアーティストが今月何人に聴かれ何人から登録されているのかを簡単に確認する事が出来る。

 

そしてアーティスト本人製作のプレイリスト。Sでは誰でも簡単にプレイリストを公開出来るが、これはアーティスト本人も勿論当てはまる。アーティスト本人のプレイリストでは自分が最近好きな曲や影響を受けた曲を紹介している事が多いため、高確率で良曲に出会う事が出来る。

 

最後はレーベル検索について。Digをする人間にとってレーベルは割と重要事項である。日本でレーベルと言うとSonyやVictorなどメジャー所が様々なジャンルのアーティストをサポートしている印象があるが、海外ではこれに加えて小規模のインディーレーベルのようなものが独自のセンスで集めたアーティストをサポートしている所がある(日本にも勿論あるにはある)。このようなレーベルは、ソウルならソウル特化ロックならロックだけという具合にジャンル専攻状態のところが殆どで、Digをする際このジャンル専攻型レーベルは非常に役に立つ。

Sでは小規模なものでもレーベル自身がアカウントを持ち、自社アーティストの曲をプレイリストに纏めて紹介している。だがAの場合レーベルは薄い文字で記されてはいるものの、ここからDigることは出来ないのだ。

 

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以上Apple MusicとSpotifyの比較である。個人的には「頻繁にDigりたい」という人はSpotifyがオススメだが「普段使いでいい」という人はApple Musicがオススメである。Spotifyの場合機能が多過ぎて普段使いする分には無駄な箇所がいくつもある。それなら洗練されたApple Musicの方が使い易いはず。

 

 

 

追記 2018/12/2

 SoundCloudも含めたオススメ利用方法について更新したのでこちらも是非。

 

fromtherooftop.hatenadiary.jp

 

 

 

5月の新譜をプレイバック。2018/5/〜31

 

今日のテーマは2018年5月に発売されて個人的にハマった楽曲。f:id:OhSAMURAI_038:20180608205540j:image

 

とりあえず邦楽から。

 

 

1.Alisa 【Walls】

最初は19歳のシンガーソングライターAlisaの新曲(初曲?)だ。この曲は堤幸彦監督のドラマSick'sの主題歌に起用されておりドラマの雰囲気を存分に表現している。と言っても、ドラマ自体はサーガ作品にあたるケイゾクSPECに比べると今の所酷い出来で悲しくなるのでシリーズファンは観ない方が...(結後編で訓練されたオタクは除く)。

Alisa名義で発表されている曲はこれだけなので彼女のサウンドがどんな物なのかは未知数。今後も要注目の新人だ。

 

2.Various Artists 【アダムとイヴの林檎】

 

次は林檎嬢のトリビュートアルバム アダムとイヴの林檎。これについての紹介は要らないだろう。管理人オススメは宇多田ヒカル&小袋成彬丸ノ内サディスティック藤原さくら茜さす帰路照らされどの2曲。どちらもジャジーな仕上がりで特に藤原さくらのカバーは驚いた。アレンジを彼女が担当していたのなら今後成長する可能性大である。

 

3.Wonk 【Dance On The Water piano remix】

 

Dance On The Water - Ayatake EZAKI “Piano” Remix

Dance On The Water - Ayatake EZAKI “Piano” Remix

  • WONK
  • R&B/ソウル
  • ¥200

 

 

3枚目はWonkのセルフリミックスアルバムから。原曲は昨年発売されたダブルアルバムCastorPollluxの前者に収録されていたもので、鍵盤担当の江崎文武がリミックスを担当。ピアノアレンジが加えられた事でこちらも原曲よりジャジーな雰囲気満載でメチャクチャお洒落である。(Saviorの頃からWonkファンだった管理人としては最近の人気には誇らしいものがあることは黙っておこう。)

 

 

4.Mouse On The Keys 【Stars Down】

 

 

日本出身の3人で編成されたオルタナティブトリオMouse On The Keysの新アルバムTresよりStars Down。卓越した技術と音像で海外でも高い評価を受けている彼らは海外のフェスにも出演し、確実に腕を上げてきている。デビューは2006年と比較的遅咲きだがその分熟成されたサウンドを楽しめる。Stars Downが気に入った人は是非過去作のチェックも。

 

 

 

さて、ここからは洋楽編。

 

5.Potatohead People 【Returning The Flavour】

 

カナダのエレクトロヒップホップデュオPotatohead Peopleの新アルバムNick & Astro's Guide To The GalaxyよりReturning The Flavour。新アルバムはIlla Jを迎えたりと豪華な客演もあり、ポップなジャケットが示す通りこれまで以上にポップな仕上がりだ。

 

6.Detroit Swindle 【High Life】

 

ラストはもはや往年の貫禄すら感じさせるハウス系デュオDetroit Swindleの新アルバムHigh Life。自称するように陰鬱で無機質なサウンドを創り続けてきたハウス職人Detroit Swindle。

新アルバムではネオソウル界に出現した超新星Tom Mischとのコラボ曲や相変わらずのボイラールームビートをブチかましている。全曲必聴といっても良いだろう。

 

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以上6枚の新譜を紹介させてもらった。個人的には5月はジャズ系の良曲が沢山出た印象がある。日本国内におけるジャズと他ジャンルの融合というムーヴメントも見逃してはいけないだろう。

なんやかんや月末のDetroit Swindleに全てを持っていかれた感は否めないが、初聴きだった方はぜひ'偽デトロイトサウンド'に酔いしれて欲しい。

 

 

P.S.

今度Tom Mischのあまり有名ではない客演曲をまとめて紹介する予定。

 

 

新人発掘プロジェクト Vol.2:Takaryu

 第2弾はTakaryuを紹介。

 

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現役高校生のトラックメイカー/音楽プロデューサー。2014年7月に始動し、ウェブ上でハウスを中心にエレクトロニックミュージック、ベーツ・ミュージックなどの音源を発表。2015年、アマチュア・コンテスト〈RO69JACK 2015 for COUNTDOWN JAPAN〉で優勝を果たし注目を浴びる。2016年8月、初の全国流通盤となるミニ・アルバム「MANUAL」をリリース。-公式サイトより

そして今春2ndアルバムとなる「Resources」をリリース。まずはこのアルバムを聴いて貰おう。

 

弱冠18歳の作品とは思えない完成度であることは一聴頂いた時点でわかってもらえるだろう。オススメ曲は「F.W.P.」「Resource」「Cave」「Sabrina」だが捨て曲はもちろんない。 ResourcesからResource。

 

前作「Manual」のゼロ年代感のある一種の'可愛らしさ'は本作では控えめになり、これまで以上に純粋な'カッコよさ'を追求している。またどこか菅野よう子をオマージュしているようなバイオリンの旋律、流行りのフューチャーベースにハウス,テクノは勿論一世代上のPorter RobinsonMadeon,Disclosureあたりを彷彿とさせる音像も必聴。 そしてもう一つ重要なのはリリックだ。都会の夜を駆けるようなダークかつスタイリッシュなサウンドと、正反対のベクトルへ突き進む10代らしい'あどけなさ'が残るリリック。この一見相容れない2つの要素が彼の楽曲内では見事に調和しているのだ。

ー鳴り止まない通知音にすべて急かされてる様になって 束の間に積み上がっていく手付かずのコンテンツ 画面に映る誰かの空虚かのような自分ー ーどこか欠けてるような思いで日々は薄い変わらず、何も得てないまま夜を待った 終えたくないー F.W.P.より
ー消えかけてる自らの情報または考えいつからか誰かの言葉ばかり引用し自分を抑制してるんだいつの間にか空虚だった日々に疲れてしまっていたー -常に同期することで自分は居たのだろうか今を保つために合わせるいつのまにいつでも繋がって居たいわけじゃないー -錯綜する生活とツール可視化されたものが全てと感じてたんだー Resourceより

彼の歌詞には一部の若者は感じたことのある'虚しさ'のような物が立ち現れている。スマートフォンが普及し誰もがインターネットに繋がることで【こことそこ】の隙間は埋められた。画面上のやり取りで殆どが済んでしまうこの世の中で生きていくにつれ次第に言語化出来ない'虚しさ'を感じる。だが自分たちには昭和世代のようにノスタルジーに浸る過去は存在しない。ただひたすら時が流れていく。そんな灰色の世界でResourcesつまり「自分が自分として実存するため」の何かを求め必死にもがき進んでいく。私は彼の歌詞にこんな思いを見出した。

 

 

 


 

 

去年のCountdown Japanでの活躍を皮切りに、舞台で彼の姿をみる機会は今後確実に増えていくはず。ぜひ注目してもらいたい。

 

公式サイト  公式YouTubeチャンネル 公式Soundcloud 公式Instagram 公式Twitter .

 

Clown Core -狂気の道化師について-

 

最近巷をザワつかせている謎のデュオがいる。 Clown Core(クラウンコア)

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最新情報はこちら。

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3月頭に突如YouTubeTwitterFacebookなどSNS群に新アルバム「Toilet」収録曲のMVを公開し始めたのだが.....

 

とりあえず、彼らの曲を聴いてみて欲しい。 まずは最新曲「Hell」。

 

 

 

 

 

ん?

 

ん?

 

ん?

 

そう、ん?である。 2人とも激烈に演奏能力は高いのだが前衛的サウンドとシャウトがありとあらゆる思考を強制遮断してくる。 次に同アルバムより「Truth and Life」。

そういえばシャウトというか悪魔の唸り声のような声にもリリックがあるのに驚きだが、こちらはHellよりは取っ付き易い。唸り声と8bitサウンドの融合そしてジャジーエクスペリメンタルという構成。

ただMVが、ヤバい。もはや仮設トイレには動じない程順応してくるがそれでも序盤から謎の展開である。爆発、銃撃、戦闘機からホットドッグ(ミサイル代わり?)、ハンドメイド感溢れる自動車事故with仮設トイレ、爆発、銃撃、事故... そして仮設トイレは宇宙へ。自己相似形を成す宇宙→仮設トイレ→吐瀉→宇宙。

 

そして投稿者のコメントも意味不明である。aの上に°とβ。 ・・・?。

まだ見逃してはいけない。カテゴリは何に登録されているだろう。

 

.....ニュースと、政治...? 我々が今聴いたものは緻密に設計された風刺音楽だったのか?そんなクレイジーな発想も受け入れかねないほど脳が溶けてくる。 極め付けは説明欄のリンクに貼られているホームページ。とりあえず飛んでみると一見マトモな画面が出現する。

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色々探ってみると、このサイトが非常に奇怪な構造になっていることに気付かされる。 メイン画面のこの4つのポイントへ移動して(移動先はそこまで狂ってはいない)下へスクロールしていくと.... なんと最初のメイン画面に帰ってくるのである。なぜ?そんな問いはナンセンスでありタブーである。 謎はまだ続く。色々探検していると画面右上にもう1つCONTACTとあるのが分かる。 意を決して飛ぶと

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? ?

疑問符の渋滞である。クラウンコアのビジネスメールがgmailなのは地味に驚きだが、それより大きなミステリーが中央に聳えている。なんだあの地図は。引いていくとどうやらアメリネバダ州もしくはカリフォルニア州の荒野にピン付けされていることが分かる。 果たして此処に彼らのオフィスがあるのだろうか?勇気のあるクラウンコアファンは行って来て欲しい。例の仮設トイレが置いてあったりして。 そういえば、メイン画面には「music from a hell toilet」とあることからToilet収録曲のMVに登場する仮設トイレは地獄の物だったことが明らかになった。 だが一方「Toilet」のMV説明欄にはtoilet from toiletとあり、地獄のトイレという記述の信憑性は疑わしい。

 

YouTubeの公式チャンネルに戻ろう。後で触れるが彼らは新アルバムToilet以前にもデビューアルバムを発表している。YouTubeにはそちらに収録されている曲のMVも公開されているのだ。試しに「I ATE A LUNA BAR AND MY DICK FELL OFF」を聴いてみよう。

テイストは同じ。注目すべきは説明欄である。 いたってマトモなのである。カテゴリもしっかり音楽でコメントも読むことが出来る。 だが8年前から様子がおかしくなり始める。

まず「deck the hell」という曲名が理解不能だがやはりMVである。なんと謎の老夫婦が突如登場するのだ。 この後から次第にMVが奇妙なベクトルへ驀進し始める。昨年末に投稿されたニュースキャスターの顔にズームインしていく謎の動画はもはやMVですらなくなり、ラストに2人が薄暗い闇に浮かぶという恐怖の展開。 ホラーと化したこの謎ビデオのジャンルは... やはり「ニュースと政治」である。

 

 8年前に発売されたデビューアルバム「Clown Core」にはToilet同様のテイストの曲たちが収録されている(聴けばわかるがやはりToiletの方が洗練されているのは確かだ)。だが問題児クラウンコア。タダでは引き下がらない。このアルバムが登録されているジャンルは.... まさかのチルドレンミュージックである。この登録を許したiTunesの罪は重い。 ちなみに2曲目「下痢・地獄・福祉・ブリトー」が目を引くがそれ以外の曲は比較的穏当。13曲合計13分収録も遊びのニオイがする。

 

 

次は新アルバム「Toilet」。 前述の通りデビューアルバムより全面的に洗練されており「Clown Core」にはなかったサウンドがいくつも聴くことが出来る。ジャンルがワールドに登録されていることもお知らせしておきたい。

 

 

このアルバムのアバンギャルドポイントはラストの曲「Buy This Album」だ。曲名が既に遊んでいるがそれ以上に内容がふざけている。悪魔の唸り声やシャウトの激しいサウンドは突如鳴りを潜め、安物のネットゲームのクリア音声らしき何かが70秒近く流されたあとに今度は突然シャウト。 彼らの遊びに笑い、最後までクリア音を聴いてやろうと思った人はラスト7秒で心臓が止まるはずだ。 ちなみにこのアルバムにも'下痢曲'「Scheduled Diarrhea」が存在する。2曲目の「Witch Pussy」も見逃せない。 と、ここまでクラウンコアを紹介というか探検してきたが何一つ分からない。道化師を標榜する彼らの周辺は全てが謎に包まれており、キケンなモンスターが野に放たれたような気がしてくる。  

 

 

ちなみに一部メディアではエレクトロニックジャズバンドKnowerのメンバーLouis Coleが鍵盤担当なのでは?という疑問が浮上しているが真偽は完全に不明。

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確かに似ている点はいくつか存在するが、これがLouis Coleの裏の顔なのか.....? そして管理人はKnowerのOvertimeのMVにサックスで参加しているSam Gendelがもう片方なのではないかと疑っている。そう思ってOvertimeのMVを見てみると遊び方がクラウンコアに通ずるような通じないような。。。

 

 

今後の動向に注目だ。 最後に彼らのTwitterアカウントを覗いてみよう。 どうやら彼らは100歳らしい。 ちなみにフォローしている3つのアカウントはどれも音楽に関係のあるものではなく、YouTubeMVの説明欄に通ずるキナ臭い匂いがするのだった。