屋根裏より。

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新人発掘プロジェクト Vol.2:Takaryu

 第2弾はTakaryuを紹介。

 

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現役高校生のトラックメイカー/音楽プロデューサー。2014年7月に始動し、ウェブ上でハウスを中心にエレクトロニックミュージック、ベーツ・ミュージックなどの音源を発表。2015年、アマチュア・コンテスト〈RO69JACK 2015 for COUNTDOWN JAPAN〉で優勝を果たし注目を浴びる。2016年8月、初の全国流通盤となるミニ・アルバム「MANUAL」をリリース。-公式サイトより

そして今春2ndアルバムとなる「Resources」をリリース。まずはこのアルバムを聴いて貰おう。

 

弱冠18歳の作品とは思えない完成度であることは一聴頂いた時点でわかってもらえるだろう。オススメ曲は「F.W.P.」「Resource」「Cave」「Sabrina」だが捨て曲はもちろんない。 ResourcesからResource。

 

前作「Manual」のゼロ年代感のある一種の'可愛らしさ'は本作では控えめになり、これまで以上に純粋な'カッコよさ'を追求している。またどこか菅野よう子をオマージュしているようなバイオリンの旋律、流行りのフューチャーベースにハウス,テクノは勿論一世代上のPorter RobinsonMadeon,Disclosureあたりを彷彿とさせる音像も必聴。 そしてもう一つ重要なのはリリックだ。都会の夜を駆けるようなダークかつスタイリッシュなサウンドと、正反対のベクトルへ突き進む10代らしい'あどけなさ'が残るリリック。この一見相容れない2つの要素が彼の楽曲内では見事に調和しているのだ。

ー鳴り止まない通知音にすべて急かされてる様になって 束の間に積み上がっていく手付かずのコンテンツ 画面に映る誰かの空虚かのような自分ー ーどこか欠けてるような思いで日々は薄い変わらず、何も得てないまま夜を待った 終えたくないー F.W.P.より
ー消えかけてる自らの情報または考えいつからか誰かの言葉ばかり引用し自分を抑制してるんだいつの間にか空虚だった日々に疲れてしまっていたー -常に同期することで自分は居たのだろうか今を保つために合わせるいつのまにいつでも繋がって居たいわけじゃないー -錯綜する生活とツール可視化されたものが全てと感じてたんだー Resourceより

彼の歌詞には一部の若者は感じたことのある'虚しさ'のような物が立ち現れている。スマートフォンが普及し誰もがインターネットに繋がることで【こことそこ】の隙間は埋められた。画面上のやり取りで殆どが済んでしまうこの世の中で生きていくにつれ次第に言語化出来ない'虚しさ'を感じる。だが自分たちには昭和世代のようにノスタルジーに浸る過去は存在しない。ただひたすら時が流れていく。そんな灰色の世界でResourcesつまり「自分が自分として実存するため」の何かを求め必死にもがき進んでいく。私は彼の歌詞にこんな思いを見出した。

 

 

 


 

 

去年のCountdown Japanでの活躍を皮切りに、舞台で彼の姿をみる機会は今後確実に増えていくはず。ぜひ注目してもらいたい。

 

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