屋根裏より。

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新人発掘プロジェクト Vol.1:J Lamotta すずめ

 

 

 

 

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第1回の今回はこちら「Neo Soul Mix」からJ Lamotta すずめのConcious Treeを特集。

 

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イスラエル第2の都市テルアビブ出身&現在はベルリンで活動中の彼女は、トラックメイカー以外にもラッパーや諸楽器をこなすマルチプレイヤーとしての顔も持っている。サウンド的には後述のJ DillaJill Scottあたりに影響を受けた雰囲気で、少しレトロな風味とネオソウルらしいメロディが同居しているのが特徴的か。 彼女は15,6歳の頃聴いたJohn Cotraneのアルバムに衝撃を受け、以降ジャズの道へ進むことを決意。そしてジャズ専門の学校へ進学。しかし一義的なジャズに疑問を抱き、なんと自主退学した後に単身ベルリンへ。そしてヒップホップにも目覚め現在のネオソウルなサウンドへ辿り着いたようだ。

 

ちなみに芸名に入っている'すずめ'は、彼女のファーストEPにSparrowという曲が収録されておりこのEPのアートワークを日本人デザイナーが手掛けたことに由来するらしい。

また彼女が(J Dillaの誕生日にトリビュートトラックを製作したりetc)熱狂的なJ Dillaオタクである事も抑えておきたい。恐らく、というか確実に芸名の'J Lamotta'は彼へのオマージュだろう。彼女のJ Dilla愛はアルバム曲全体に流れているのでファンはぜひ聴き比べてみて欲しい。

 

 

Conscisous Tree

 

今回リリースされたのはあのJAKARTAレコード(ドイツ,ベルリン)である。

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ソウルR&Bの名曲をこれまで数多く輩出してきた大御所で、近年の作品ではMura Masaのごった煮アルバムSoundtrack To A Deathが有名だ。

 

1.Dig It

1曲目はDig It(intro)。1分15秒と小粒な曲ではあるが開始早々ボサノバ風のサウンドが鳴り始め、意味深に♪Dig It Dig It〜と繰り返される。まるでアルバムを聴き始めた人間に向かって「チャンネルを変えるなよ」と呼びかけているかのようだ。 (実際に管理人がConscisous Treeを発見したのはdigっていた時でこの曲を最初に聴いたので内心ドキリとした)

 

 

2.Don't Take Us The Bottom

2曲目は雰囲気がガラリと変わり今度は全体を通してスローテンポかつ単調な趣。歌詞にはWhere's the joyやNo separation, no frustration、I don't feel your solitude yeahなどメッセージ性の強い言葉が並んでいる。

 

 

3.Who Is Who

Who Is Whoはジャズ成分は控えな代わりヒップホップ要素を存分に盛り込んだナンバー。気の抜けた声でリフレインされる♪who is who〜が陰湿でドープな空気感を醸し出す。

 

 

8.Everybody Needs The Sunshine

Everybody Needs The Sunshineではヒップホップ要素は鳴りを潜め、往年のR&B,ソウルサウンドを体感できる1曲。と同時にJordan RakeiTom Mischら最新のニューウェーブ勢らしいリズムも感じられる秀曲。こちらは曲名から判る通りRoy Ayersの名曲Everybody Loves The Sunshineへのオマージュだ。原曲は頻繁にサンプリングされる事で有名だが、Everybody Needs The Sunshineではあくまで曲名オマージュに留まっている模様。

 

 

 

9.Deal With That

こちらは風刺性が強い一曲。中東感のある軽快な旋律とレイシズム等を揶揄する力強いリリックのアンバランス加減が絶妙。彼女はインタビューでこのように語っている。

私はこのアルバムをこの地球に住む全ての人々に捧げたい。そしてどうしたらケジメを付けられるのか、考えていきたい。どんな意味でこの言葉を理解したとしてもね。

 

 

本作はデビューアルバムであり彼女の今後の活躍に期待だ。個人的には今年か来年あたりにはブルーノートに来て欲しい。